仲介無料、不動産VB続々 ネット活用で店舗構えず
インターネットを“主戦場”とする不動産ベンチャーが相次ぎ誕生している。ほとんどの手続きがネット経由で済み、「仲介手数料無料」が売りだ。実店舗を持たず、内見の際は現地集合にするなどしてコストを抑えている。国が不動産のネット取引解禁に動き出したことも追い風となり、今後勢力を拡大しそうだ。
無店舗で借り主の仲介無料をいち早く始めたのはアセンシャス(東京・千代田、鈴木直樹社長)。2012年、月額840円の会員制不動産情報サイトとアプリ(応用ソフト)「ノマド」を立ち上げ、14年2月から全物件で仲介手数料無料サービスを始めた。
仲介手数料は法律で、大家と借り主のそれぞれで取引価格の3%に6万円(税別)を加えた額までと定められている。仲介業者は両方から受け取れるが、アセンシャスは大家からのみもらい、借り主は無料にしている。
店舗を持たないことでコストを抑制。実店舗で不動産業を営んだノウハウを生かして大家と直接契約し、管理会社などに払う手数料を省いた。
ノマドでは、会員が間取りやエリアなどの条件を入力すると希望に合う部屋を提案する。物件を見たい場合もネットで予約し、現地でスタッフと合流。契約の際だけアセンシャスに行く。
ノマドの会員数は5万5000人で成約数は月間150件に上る。現在は首都圏1都3県で展開しているが、今後は大阪や福岡にも進出し年間10万件の成約を目指す。
同様のサービスを昨年11月に始めたのがイタンジ(東京・港、伊藤嘉盛社長)だ。同社も仲介手数料は一部を除き無料。昨年12月にヤフーと提携しヤフーの有料会員にもサービスを提供する。
イタンジのサイトでは、物件を検索すると他社サイトの物件も併せて提案するのが特徴だ。独自のシステムにより実際には空き部屋でない「おとり物件」を情報から排除し、利用者の安全を確保しているという。現在は東京23区中心だが、今後は埼玉や神奈川などにもサービスを広げる。
個人間の中古マンション売買を仲介する企業も出てきた。ハウスマート(東京・渋谷、針山昌幸社長)は14年10月設立で、今年2月に会員制の無料サイトを立ち上げた。
サイトでは売り主が部屋の写真と希望価格を掲載。買い手は直接売り主に質問し、内見も予約できる。フリーマーケットのように価格交渉もできる。ハウスマートの場合は契約締結後、買い手から仲介料を受け取り、売り主の負担はない。現在の会員数は1000人超で、10年後には売上高600億円を目指す。
編集部より:この記事は nikkei.com 様の2015/05/18の投稿を転載させていただきました。