「キャッシュで97億円払う」中国人富裕層、日本の不動産まで「爆買い」…日本人居住者とトラブル、市況悪化の懸念指摘も
中国人旅行者が2月の「春節(旧正月)」に大挙して日本を訪れ、高額・大量消費する「爆買い」が話題となった。お花見シーズンにも多くの中国人客が入国し同様な行動を起こすなど、勢いに衰えはない。こうした中、円安も味方につけて、一段と加速しているのが中国の富裕層による日本の不動産の“爆買い”だ。地価の上昇にもつながってデフレ脱却を後押しする動きだけに、本来であれば歓迎すべき傾向かもしれないが、「これまで培ってきたビジネス慣習が崩壊しかねない」と不安視する声が不動産業界で出始めている。
都内物件を買いあさり
数カ月前、中国政府の関係者がある不動産仲介会社に話を持ち込んできた。東京・六本木の「ミッドタウン」にある高級ホテル「ザ・リッツ・カールトン東京」の一室を購入したいというのだ。1カ月あたり120万円程度で借りることはできるが、売ることはできない。そう伝えると「では、港区内のタワーマンションを購入できるか」とたたみかけてきた。
外国人投資家に人気がある場所は、2020年に開催される東京五輪の会場に近い湾岸地区や六本木、赤坂、麻布といった港区のブランド力があるエリア。販売価格が1億円を超える“億ション”も多い。
仲介会社の社長は、その一角にあるマンションの一室をイメージしていたが、先方の要請は「土地を購入したうえでタワーマンションを建てたい」だった。軍資金はキャッシュで97億円。100戸程度の規模で出張時に宿泊できる部屋も確保してほしい、といった細かな注文もついた。
あまりにもスケールの大きい話なのに加え、地価と建築費が高騰している点を踏まえると、その価格では実現不可能なプロジェクト。このため丁重な断りを入れたが、中国人投資家の目覚ましい台頭を象徴する事例といえる。
中国人の勢いを示すエピソードは、都内随所から聞こえてくる。例えば東京都心部で建設中の大型タワーマンション。大手デベロッパーはマンションの販売に関し、完成後の円滑な管理を考慮して「外国人に売るのは全住戸の3割」といった一定の自主基準を設けたが、結局、その物件は中国人への販売が半分を超えたという。
郊外の戸建て物件にも“触手”
“進出先”は都心部だけではない。東武スカイツリーライン沿線といった東京・城東部などで購入する動きも顕在化し始めた。しかもマンションだけでなく、分譲住宅を移住もしくは別荘目的として購入する動きも活発だ。
編集部より:この記事は 産経ニュース 様の2015/04/20の投稿を転載させていただきました。